皆さん、こんにちは。
瀬戸病院 病棟助産師です。
街路樹のハナミズキの葉や小さな実が真っ赤に色づき、あちらこちらで秋の風景を楽しめる季節となりました。晩秋の青く澄み切った空の下、思いっきり背筋を伸ばし心身ともに伸びやかに過ごしたいものですね。
さて、本日のテーマは『妊婦さんの防災』についてです。
特に地震の防災にしぼってお話を進めていきましょう。
昨今、地球規模の温暖化の影響で自然災害が全国至る所で発生し、妊産婦さんや小さな赤ちゃんが避難所生活を余儀なくされることも多くなっています。進化した気象予報により、ピンポイントで豪雨や台風などは事前に対処も可能ですが、大地震の場合は全く予測がつきません。国も大地震に備え、様々な対策や啓蒙活動を行っていますが、地震の発生自体を防げるわけはないことは、皆さんご周知のとおりです。
先日埼玉でも震度5強の地震が起こりました。揺れが始まった瞬間、「もしや首都直下?」と緊張と恐怖が脳裏をよぎったのではないでしょうか。地震発生時刻は、平日の午後10時41分でした。ご家族は全員帰宅されていましたか?帰宅されていない方との連絡はスムーズに出来ましたか?
通勤帰宅途中の方、遅い夕食の支度中で火を使っていた方、入浴中だった方、既に就寝していた方など様々なシーンが思い浮かびます。
地震は時と場所を選びません。
そこでこの機会に、妊産婦さんの身の上だからこその、いのちを守る備えというものを考えてみましょう。
<自宅に準備したい防災グッズ>
- 水、食料は、出来れば1週間程度(支援物資が受け取れないこともあります)消費しつつ、買い足ししていくと無理なく備えが出来ます。
- カセットコンロ、ガスボンベ
- 懐中電灯、電池、モバイルバッテリー
- 簡易トイレ(1人1日5回分を想定して準備)
<妊産婦さんが避難のために準備したいもの>
- 母子健康手帳、健康保険証、かかりつけ医の診察券
- 常用薬や自己注射等その薬剤と器具
- 生理用品やおりものシート
- 多めの不織布のマスクやアルコールスプレー
- タオルや着替え
- お菓子やゼリーなど栄養補給できるもの
- 携帯電話と非常用バッテリー
- 小銭
- 携帯トイレ
- ビニール袋や使い捨て手袋
- ソールが厚底の防災靴など用意出来ればなお良いでしょう
妊娠初期の場合には、周囲の人の理解を得るためにも、厚生労働省指定の【マタニティマーク】のキーホルダーも持参しましょう。
その他、いざという時に家族や大切な人とどのように連絡を取り合うのか日頃から話し合っておくことも大切です。家族が集うリビングやダイニングなどに災害時の行動計画書などを貼っておく、連絡先の優先順位などそれぞれが周知し、メモにして携帯するなど必要でしょう。また災害に影響のない遠方に住む知人や親戚を共通の連絡先にしておくのもよいですね。災害用伝言ダイヤル【171】や【WEB171】を利用するなどもあります。
メモには、当院の電話番号04-2922-0221も忘れずに。
30年以内に70%以上の確率で起こるといわれている首都直下型地震は、明日おこるやもしれません。
おなかに赤ちゃんのいる妊産婦さんの行動には制限があります。
赤ちゃんと二人の命、大切なご家族の命を守るために、今一度ご家庭内で話し合いをしていただき、万全の備えと、安心の暮らしを目指していきましょう。